時計の組み立て 2


第二回目(2007年10月)

前回の儀象堂訪問では、女持ちムーブでしたが、ムーブが大型に変わり、時計も大型化されたとのことで、仕事に引っ掛けて二回目となる組み立てに挑戦しました。
前回は、部品を何回か飛ばして一個はついに見つからずと言う失敗をやらかしたのと、針付けが難しく先生の御世話になってしまったので、今度は自分でやり遂げたいとの思いがあります。
時計の値段は、前回より上がっていますが、高級ムーブでもっと高くても行く人は行くと思います。
では、実際の組み立てを・・・・

前回は、内部をゆっくり見る時間が無かったのですが、今回はじっくり見ることができました。
脱進機の説明模型。
セイコーOBで、56GSの日付曜日早送り機構の発明者である宮坂さんから、直接脱進機の説明をしていただくことが出来ました。やっと香箱からの動力の伝わり方が分かった気がします。
そんな人がおられるなら、質問を一杯用意して行ったのに・・(後でそういう人であったと聞きました)
こちらは、マジックレバーの説明模型。
実際に動くものです。
アクリルでできていますが、ツメは開館後一回取り替えただけとのこと。右下のハンドルをどちらに回しても真ん中の伝え車は同じ方向に回ります。
この機構は、今のスプリングドライブにも使われています。切り替え車無しで部品点数が少なく、自動巻きのコストダウンに大きく寄与し、60年代に自動巻きを普及させる原動力になった方式。
歴代諏訪精工舎の時計の展示
水運儀象台の内部1
みんな同じ顔だぁ〜
こちらは時針相当か?
天球儀
大きなホイールを回して水をくみ上げる人
残念ながら、脱進機の写真を撮り忘れてます。
実際の時間の表示部
さて、いよいよ時計の組み立て開始。
まず防塵服を着て、組み立て体験室に入ります。

本日の組み立てに使う道具。
各パーツは予めキット化されており、最高に難しい注油は各部品に既に施してあります。
最初のパーツBOXは、「かんぬき押え」の取り付けまでです。
機械台に地板をセットしていよいよ組立て開始。
この日も、他に受講者は無く、マンツーマンで指導して頂く事が出来ました。
まずは二番車の取り付け。
二番受けを取り付けました。
このムーブはORIENT製ですが、セイコーから技術供与されたもので、昔の70系の流れを汲むもののようです。
かんぬきを取り付けるため、日の裏側に返したところ。
ゼンマイ巻上げの説明図。ゼンマイは解けるトルクを一定にするため、香箱から出すと、S字型に巻き癖が付けられているとのこと。
もう一度、輪列側に戻し、ガンギ車、香箱、三番、四番の各歯車を取り付けます。
香箱の上に横切るのは、コハゼ。
受けの取り付け。
昔の時計は、アガキ調整のため、受けが一個づつバラバラになっていましたが、現在は一枚の受けで止めます。
多軸を一度に入れるため、難しい作業ですが、割と早くできました。人によってはここで半日費やすとか。
受けが個別にバナナのような形になった懐中時計がありますが、見た目はその方が芸術的。
ま、これはこれで、機械組み立てを追及した1つの機能美ではありますが。
角穴車を取り付けたところ。さすがに飾り加工は入ってません。
脱進機のサオを取り付けたところ。
ここで適用ネジを間違い、中々入らず大きなタイムロス。(^_^;)
テンプ組み込み完了。
丸穴車を付けてから、自動巻き機構の組み込み完了。
自動巻き機構は完成された1つの組としてできているので、上に付けてネジを止めるだけ。
しかし、前回ここで失敗し、ドライバーが滑ってテンプをつっいてしまいました。今回はうまく行きました。(^^)
少しアングルを変えて見ました。
ネジが笑う(ネジの溝が削れる)こともなく、地板にキズが入ることもなく、ここまではうまく出来ています。
日の裏機構の組み込み。
日付曜日付きです。やはりここは樹脂部品が使われています。
日付板まで組み込んだところ。
レバーを噛ませるのが難しかった。
曜日板取り付け完了。
指導員の先生。
現役当時セイコーで、生産技術を担当されていたそうです。
いよいよ最終段階、ケーシングです。
時針、分針は比較的簡単に付きますが、秒針の取り付けは超難関。何しろ軸が細くて見えない!
多分に老眼のせいですが・・・(^_^;)
日付の変わる時間が2分ほど早めになりました。規格では、±10分くらいOKだそうです。

このあと、遠近両用メガネを買うことになりました。
裏蓋の取り付けだけは、どうしても先生がやられるとのことで、お任せしました。
滑らせて、新品からキズを付けてはとの配慮。
ま、何回も手持ちの時計の蓋の開け閉めはやっているので、特にいいのですが、もしキズがついても自分でやる方が、一般的にはそれも思い出だと思います。

回転錘にGISHODOの文字と、飾り彫り。

■その後の修行
ある日、神戸の大丸に行くと、腕時計フェアと言うのをやっており、なんと、スプリングドライブのGSのクロノグラフ組み立て実演をやるとのこと。行った時間がたまたま開始時間だったので、即座に見に行きました。

実演されるのは、セイコーエプソンの組み立ての大会で優勝された現代の名工。
CCDカメラで手元を画面に写しながらのデモ。
この日は、時計の輪列側ではなく、クロノグラフ機構の組み立て実演。
セイコーが60年代に開発した、垂直クラッチ機構、ハートカムを使ったコラムホイール機構など模型を使って説明しながらの実演。さすがに手が速い!

ドライバーの持ち方などは、私もそこそこ行けてた模様。そういえば儀象堂で、技術系の人はドライバーの持ち方ですぐわかると先生が言っておられました。
マーベル、クオーツアストロンなどエポックメイキングとなった歴代腕時計の展示もありました。
スプリングドライブの展示。
20年間開発に携わられた方(写真)は、完成を見ることなく世を去られたとのこと。その後後輩により、商品化。